さよなら流れ星
「やば、もうこんな時間じゃん。」
誰かのそんな言葉を合図に、あたしたちは解散した。
何時間も居座っていたカフェを出ると外はもう真っ暗で、見上げると、星空。
東京のど真ん中だから『満天の星空』なんてことはないけれど、それにしても綺麗だった。
みんなに手を振って別れて、ひとり帰り道を進む。
やっぱり愛想笑いって疲れるな。ジンジンと痛む頬をさすって、小さくため息をついた。
まっすぐ家に帰るのは、なぜか嫌だった。
家に帰りたくないのはいつものことだけど、今日はいつにも増して嫌だった。
なんでかなんてわからないけど、強いて理由を挙げるとしたら_________
______『兄弟とか、いないし』
さっきの自分の言葉を思い出して、思わず唇を噛みしめる。
だから、あたしは本当はどこまでも暗くて、めんどくさくて、腹黒い、嫌な奴なんだ。
あたしには、三つ上の兄がいる。