さよなら流れ星
昔は、比較的仲の良い兄妹だったと思う。
兄の秀人(しゅうと)は、明るくて友達も多くて、頭も良くてスポーツもできて、妹のあたしから見ても自慢の兄だった。
高校を卒業して大学生になっても、それは変わらないと信じていた。
いつからだろう。兄が変わってしまったのは。
受験に失敗したときかもしれないし、貼りつけたような笑顔を浮かべて大学から帰ってきたときかもしれないし、まだ未成年なのにベロベロに酔っ払って帰ってきたときかもしれない。
結論から言うと、兄は引きこもり始めた。
大学にも行かず、友達とも遊ばず、ずっと部屋に閉じこもるようになった。
なんでだかはわからない。
それを聞こうにも、兄は自分の部屋から出てこないのだから。