さよなら流れ星
『…もしもし?』
もう聞き慣れた声が聞こえてきて、余計な考えを振り払うように頭を振った。
「もしもし、こんばんは。」
なぜだか妙に緊張して声が上ずる。
自分の声じゃないみたいだ。
『…なんか、いつもと違くない?嫌なことでもあった?』
電話越しなのに気づかれてしまったらしい。
そういえば昨日まであったノイズがすっかり消えている。たしかにこれなら声の違いも聞き分けやすいかもしれない。
「う、ううん。なんでもないの。ただちょっと考え事してるときに電話しちゃって。」
『ふーん、考え事って?』
そこまで突っ込まれるとは思ってなくて、思わず押し黙る。
きみと電話してる理由について、なんて言えないし。何かそれっぽい理由はないか、とさっきの女子会での話題を必死に遡る。
「えーっと…彼氏できないかな、みたいな…?」
やっとのことで絞り出した答えがコレだった。
我ながらアホらしい『考え事』だけど、数分前まで実際話してたことだし、たぶん嘘ではない。