さよなら流れ星





「隆さん、おはようございます。こんな朝早くから何かあったんですか…?」


扉の向こう側にいた隆さんの顔は蒼白で、思わず息を呑んだ。

僕の記憶の中にいる隆さんはいつも白い歯を見せながら笑っていて、こんな表情は久し振りに見る。

それと同時に湧き上がってくる言い知れぬ不安。

隆さんは乾いた唇を舌で湿らせると、目を伏せながらそれを開いた。


「朝早くからすまん。実は、昨日から莉央が風邪を引いたらしくて。熱と咳が治まらないんだ。

厚かましい頼みだとはわかってるんだが、もし薬を持っていたら少しもらっても構わないか…?この時間だとまだ病院もやってなくて…」


予感は的中した。

隆さんの言葉に慌てて棚を引っ掻き回したけれど、薬らしきものは見つからない。

すみません、見つかりません…と頭を下げると、隆さんは「いや大丈夫だ、こちらこそ悪かった。」と苦笑いを浮かべる。

けれどその顔は引きつっていて、全然大丈夫じゃないことがよくわかった。


「莉央ちゃん、そんなに具合が悪いんですか…?」




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