さよなら流れ星




聞こえてきたその声に、思わず嬉しくなって口を手で覆う。
少しだけそうやって気持ちの高ぶりを鎮めると、努めて冷静な声を出そうと一つ咳払いをした。


「あー…ごめん、こんな朝早くに。起こしちゃった?」
『ううん。あたしもいつもより早く起きちゃって、手持ち無沙汰になってたとこ。』


その返答にほっとしたように胸をなでおろす。
でもこれといった話題を考えずに電話をしてしまったせいで、次の言葉が出てこない。

そもそも僕はそんなに話が上手いほうじゃないんだ。

なにを話そう、と考えを巡らせていると、ふいにひなたが口を開いた。


『…もしかして、何かあった?』


え、と思わず声が出た。
自分で言うのもなんだけど、感情を隠すのは昔から得意な方だった。


それなのに、どうして。


そんな僕の動揺を察してか、ひなたは慌てたように『違ったらごめんね!』と付け加える。
違ってなんかいない。何かあったから、ひなたに電話するのを我慢できなかったんだ。






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