特別な君のために

——今、終わりました。おかげさまで金賞でしたよ!

奏多先輩にメッセージを送ってみたら、すぐに返事が届いた。

『おめでとう! すげー! 興奮する!』

——ありがとうございます。

『それじゃあ、あとは受験まっしぐらだな』

——切ないです。

『来週うちの学校祭だから、それ見てやる気を出そう。待ってる』

——わくわくしてきました。

『人間、楽しみがないと。それじゃあ、ちゃんとゆっくり寝ろよ』

——はい。ありがとうございました。



家族からもおめでとうというメッセージをもらい、嬉しい気持ちいっぱいのまま、ホテルの自分の部屋へ戻ってきた。

勉強しよう。持ってきた参考書とノートを広げて、静かな環境で勉強をはじめる。

真っ白いノートのページに、センター試験までの日数と、星路学園大の入試日を書き込んでみた。

もう、これしか日数がないのかと、驚いた。

いや、まだあと百日以上ある。頑張れば追いつける。

新たな目標に向けて、また自分なりの効率化を考えながらスケジュールを組み立てた。

奏多先輩のいる学校に向けて、まずは地道に勉強しよう。

< 115 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop