特別な君のために
大会の次の週、星路学園大学の大学祭へ行くため、私は早朝に家を出た。
ひとりで公共交通機関を乗り継いでいくことで、受験当日も自分ひとりで行けるという自信につながるから。
大学の最寄りの駅についた時にははもう、お昼を過ぎていた。
……学校の前に着きました。
指示された通り、奏多先輩にメッセージを送ると。
『美冬、後ろ~!』
「え? うわああああ!」
スマホを落としそうになるほど驚いた。
黒いポロシャツにデニムの、奏多先輩がいきなり肩を叩いてきたから。
リアルな奏多先輩に会うのは、久しぶりだ。
会えてすごく嬉しい気持ちと、照れくさい気持ち。
「ひどいじゃないですか~! 不意打ちとは卑怯ですよ」
「ははは、驚かしてごめん。じゃあ、どこから回ろうか?」
「えっと、チャペルが見たいです!」
「チャペル? うーん、今は何も催し物やってないと思うけど」
「いいんです。憧れの場所だし、ここで合格できますようにって祈っておこうと思って」
「なるほどね。じゃあ、行こうか」