特別な君のために
チャペルを出て、模擬店コーナーへと足を運ぶ。
すごい熱気で、圧倒された。
「うちの高校も結構頑張っていたと思うんですけど、やっぱり大学の学校祭って、パワーが違いますね!」
「まあね。ここでの儲けがこの後の打ち上げの飲み代になると思えば、必死に頑張るさ」
「そうなんですか!?」
「うちのサークルはそう。他のサークルは、ちゃんと活動費やユニフォーム代にしてるところもある」
「色々あるんですね……そんなところも自由にさせてもらえるなんて、大学ってすごい」
「だから、早く来いよ。そして一緒に歌うんだろ?」
その言葉に、少しどきんとした。本当に私を待っていてくれるのだとわかったから。
「はいっ!」
「あ、危ないから前見ろよ!」
「え? ……あっ!」
私のすぐ前に、かき氷を抱えた子どもがいた。
あ、ぶつかる……と思ったけれど、ぶつからずにすんだ。
奏多先輩が、私の腕を掴んで引き寄せたから。