特別な君のために
代える
合唱サークルの模擬店は『歌声喫茶』と看板に書いてあった。
クラシカルな内装で、カラオケBOXとはちょっと違うらしい。
教室内に大型テレビを設置して、みんなでカラオケをしながら軽食を提供するお店、とのこと。
「美冬、何がいい?」
メニュー表を見せながら、奏多先輩が尋ねてくれる。
「紅茶とサンドイッチ、お願いします」
「了解。ちょっと裏に行って手伝ってくるから、ここで待ってて。悪いお兄さんに掴まるんじゃないぞ!」
「大丈夫ですよ~。ゆっくり手伝ってきてくださいね」
私がここへ来たせいで、奏多先輩とサークルの人達に迷惑をかけてしまうのではないかと、ちょっと心配していたから、ちょうどよかった。
座り心地のいい椅子に腰かけて、ちょっとリラックス。
スマホでお母さんに、無事に着いたことを報告した。
「いらっしゃいませ。ちょっと、いいかな?」
「あ、はいっ!」
「可愛い~。高校生なんだってね」
「はい」
誰だろう。綺麗なお姉さんに声を掛けられて、私は少し戸惑っていた。