特別な君のために
「ああごめん、私は英文学科三年、目黒由香です。このサークルの副部長をしてるの。よろしくお願いします」
「……浪岡美冬です。こちらこそ、よろしくお願いします」
綺麗に整えられた爪が、目に入った。
私が憧れたネイルアート。ラメがキラキラ、ピンクのグラデーションが艶々。
でも、ここは飲食店。まあ、模擬店だからあまり気にしてはいないのだろうけれど。
「時間もないし単刀直入に聞いちゃうけど、奏多と付き合ってるの?」
いきなり何でしょう、この綺麗なお姉さんは……。
「いえ、付き合ってはいません」
「そうなんだ~。でも、奏多のことが好き、でしょう?」
なぜ、そんなことまで聞き出されるの?
恐ろしや、大学生!
「あれ、答えられない? それともまだ自分の気持ちに気づいていないっていうところかな?」
「……」
もう、どうすればいいのか、どう答えるべきなのかわからない。
奏多先輩、早く戻ってきてください……。