特別な君のために
コンビニまで走っているうちに、雪が降り始めた。
お店に着いた頃には、かなりの吹雪になっていて、ひざ丈のフレアースカートという薄着で来たことを後悔した。
店内の雑誌コーナーに、奏多先輩がいるのが見えた。
「お待たせしました!」
「お、しばらく見ないうちに、可愛くなったな」
「本当ですか!?」
「本当。で、ちょっと渡したいものがあるんだけど、ここでは……」
「じゃあ、うちに来ませんか?」
「いいの? 俺みたいのがいきなり行ったら、お母さん驚かないか?」
「うーん、驚くかも知れませんけど、きっと歓迎しますよ。あと、千春も帰省しているんで……あっ!!」
さーっと、頭から血の気がひくのがわかった。
背筋がきいんと冷たくなる。
私の異変に気付いたのだろうか、奏多先輩が背中をさすりながら、声をかけてくれた。
「どうした、大丈夫か?」
「大丈夫じゃ、ないです」
「どこが? どんな風に!?」
「……家の鍵、かけてこなかったんです。千春が……出て行っちゃう!」