特別な君のために
それからの奏多先輩の行動は早かった。
まず、私が自宅へ電話するように指示を出し、そこでお母さんに千春がどこにいるか確認してもらった。
やっぱり、お母さんがテレビを観ている間に、千春がこっそり抜け出してしまったことがわかった。
お母さんが近所を探している間に、私達も自宅へ向かう。
さらに私のスマホから奏多先輩のスマホへ、千春の写真を転送。
「やっぱり、似てるな」
「そうですか……私より妹の方が可愛いし、スタイルもいいんですよ」
「妹さんの身長は?」
「百六十五だったと思います」
「ちなみに美冬の身長は?」
「百六十ジャストです」
「よし、美冬より五センチ大きい、と。ちょっと測らせて」
そう言うと、奏多先輩は私と向き合い、身体をくっつけてきた。
「ひゃあ!」
「ああ、ごめん。美冬の身長でこのボタンの位置だから、千春ちゃんだったらここら辺かな?」
自分のダッフルコートのボタンの位置で、私の身長を測っていたとは。