特別な君のために
あの頃、千春が寝ている間だけ、お母さんは休息できていたはず。
でも、その限られた時間、私の甘えに付き合ってくれたお母さん。
私はいつだって後回しだと思っていたけれど、そうじゃなかった。
貴重な時間を割いて、濃密な甘えの時間を作ってくれていたんだ。
今ならわかる。
どんなに身体を休めたくても、私が抱っこをせがんだら、必ず抱きしめてくれた両手。
今は私が身体を休められるようにと、双子を預かってくれたり、ご飯を作ってくれたり。
「お母さん、独り占めさせてくれてありがとう」
「どうしたの?」
「ちょっと色々、思い出したんだ」
「そう……どんなこと?」
「お母さんが、私に毎朝大好きって言ってくれたこと」