特別な君のために
緊張して、声を震わせながら、美冬は由香さんに対峙した。
結果的に、由香さんは何も言えずに固まっているけれど。
まさか、こんな弱々しい、守ってあげたいタイプの女子高生に言い負かされるなんて思ってもみなかったのだろう。
そろそろ、行った方がいいかな。ここが修羅場になっても困るし。
「……美冬、すっげー成長したな」
「奏多!」
「奏多先輩?」
腕組みをしながら二人に近づいた。
「由香さんが言いたいことも解る。でも、これは極めてプライベートなことだから、俺の口から説明したかった。だいたい、俺達まだ付き合ってもいないのに、三つも年上の元カノから直球で勝負されたらきついでしょう?」
俺達『まだ』付き合ってもいない、というところを強調して話したのだけれど、果たして美冬は気づいているのだろうか。
……顔を赤くしながら目をくるくると回しているように見える。これは混乱の現れだろうか。無理もない。