特別な君のために
結局、私の右手中指はどうやら骨折しているらしい、ということがわかった。
詳しくは明日の朝になってからきちんと整形外科を受診するようにということで、当番病院では応急処置をしてもらい、痛み止めを処方された。
薬を飲んだら少しだけ気持ちが落ち着き、やっと話せる状態になった。
会計を待っている間、お父さんに伝えた。
「お父さんは、悪くないから」
「え?」
「お母さんも、千春も悪くない」
下を向いて話す。私のデニムの膝には、血の跡が点々と残っているのが見えた。
「そう思うのか、美冬は。だから……」
「私がちゃんと予測できなかったのが悪い」
「それは違う。お父さんが千春を止められなかったからだ」
「ううん、それだといつまで経っても、千春は親離れできないよ」
ここまで話したところで会計窓口に呼ばれて、この話は流れてしまった。
でも、私が親離れという単語を口にしたから、お父さんは何も言えなくなったのだと思う。
お父さんとお母さんにとって、これはとても残酷な問題だ。
いや、一番残酷な問題なのは、私。