特別な君のために
歳の順から考えて、両親は千春より先に亡くなるだろう。
その後、千春の面倒を見るのは私。
千春がこれから先、仕事に就けるのか、どうやって暮らすのか、まだまだわからない。
けれど、両親亡き後、千春に関する責任を負うのは、私の役目。
これはもう、私が小学生の頃から言われ続けている。
「美冬は頼りになるね」
「美冬がしっかりしたお姉ちゃんで良かった」
両親は、私によくこう言った。
これはほめ言葉なのだろうけれど、私にはとても重たい言葉に聞こえた。
私のどこが、しっかりしているというのだろう。
私はただ、普通の暮らしがしたいだけだというのに。
自分ではどうすることもできない環境に、ただただ嫌気がさして泣けてきた。
千春の親離れ=お父さんもお母さんもいない状況=私が千春を背負って生きる―—
私は、どうやって千春のことを背負って生きていけばいいのだろう。