特別な君のために

そのメッセージを見たくない、と思ってしまった。

きっと、昨日の千春のことだ。

千春が勝手に自分語りした後、私が痛みで叫び、それを聞いてパニックになった千春も叫び出した。

その全てを、なるみは聞いてしまった。

勘のいいなるみには、気づかれてしまっただろう。


バス停に着いてから、しぶしぶそのメッセージを見た。


『おはよ。先生からケガして病院へ行くから遅刻するって聞いたよ。昨日私が電話した時、色々あったんでしょ? ごめん。待ってるから』

『みんな心配してるよ。まだ病院終わらないのかな~』

『美冬がいないから、体育の柔軟の相手が先生になっちゃったよ~』

『お昼、食べた? 今日の私のお昼ご飯は日替わりパン! チーズカレートーストだった♪』


千春のことには触れていない。

これがなるみの気遣いであり、優しさだと思ったら、また涙がにじんできた。

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