特別な君のために
「妹の進学先を考える時期になって、私も色々と検索してみたんです。そしたら、ネットには知的障がい者のことをひどく嫌っている人がいっぱいいるって知りました」
「……あんまり見ない方が良かったな、それ」
「でも、見ちゃいました。知的障がいを縮めて知障。で、そこを変換すると『池沼』になるんですね。もっとひどいのは『あうあうあー』なんて書いてるんです」
「未だに根強い差別は続いてるからなぁ。俺も授業で習ったけど」
「私は妹がバカにされているようでホントにムカついたんですけど、でも、その中にこんな書き込みもあったんです。『彼女の妹に障がいがあるせいで、親から結婚を反対されている』っていうのを見て、ショックを受けました」
ここまで話してはっとした。
私は何で奏多先輩にこんなことまで話しているのだろう。
部活の先輩に、妹の愚痴だけじゃなく、結婚できるかどうかの愚痴まで。