特別な君のために
「え、えっと」

二人から注目されて、もう逃げ場がなくなったと思った私は、正直に話すことにした。


「十五歳、なんだ」

「え? 五歳?」

なるみは聞き間違えている。でも、あえてそのままにしておいた方がいいととっさに考えた。

……だって、IQは五歳児並みなのだから、全て嘘ではないし。
そんな言い訳を自分にしつつ、笑顔で答えた。

「手がかかって仕方がないの」

「わかるわかるー! でもそこがまた、可愛いよね?」

「うん。いたずらがひどいけどね。私が面倒見なくちゃって思わせる行動力が半端ないよ」

これは本当。
……千春のことは、私が一生面倒みなくちゃって思ってる。

私は無理やり作った笑顔のまま、なるみに「そんな訳で、昨日はゴメン」と謝った。

自分の中に、もっと大きな鉛が詰め込まれたのを感じる。

このまま、もし私が鉛中毒で死んでしまったとしても、きっと千春は何も解らずに

「おねえちゃんは、どこ?」

と、探すのだろう。
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