特別な君のために
部活が終わり、鉛の詰め込まれた体をひきずるように、バスに乗った。

車内は混雑していて、今日ももちろん座れない。

それでもやっとひとりになれたことへの安堵感で、ふうっと大きく息を吐きながら手すりにつかまる。


結局、部活の時間もなるみが妹のことを周りに話してしまい、私はその間違いを訂正できないままだった。

嘘はついていない。
けれど、あえて本当のことは言わない。

私はズルい。

でも、真実を話したとしても、きっと私の気持ちはわかってもらえない。

かえって、みんなから気を遣われてしまうだろう。

せっかく、高校に入学してから今日までの丸二年と一ヶ月、私は「普通の子」として生活できていたのに。

薄暗い街の景色を眺めながら、ぼんやりとそれまでのことを思い起こした。

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