特別な君のために
もしかしたら、奏多先輩にも自閉症のきょうだいがいるのだろうか。

だとしたら、今までの話がすべて繋がる。

こんなに私の話をスムーズに受け入れてくれた理由も納得できる。

だけど、奏多先輩の答えは意外なものだった。


「俺の場合、きょうだいではなくて、親が、なんだけどさ」

「え……? お父さんかお母さんが自閉症なんですか?」


そう聞いた途端、奏多先輩の眼がまんまるになった。

心底驚いた表情を浮かべて、それから苦笑している。


「いや、そうじゃなくて。……ごめん、俺の説明が悪かった。親が病気なんだ。もう、何年も前から。なかなか治らなくて、入退院を繰り返している」

「そうでしたか……。ごめんなさい。思いっきり勘違いしていました」

そんなに深刻な病気だったなんて。

「いつか良くなるかな、って期待しては裏切られて、結構ボロボロだった時期もあるんだけど、それも含めて俺の家族だから。一生背負っていかなきゃならないんだとしたら、ちゃんと理解できる人になろうって決めたんだ」

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