特別な君のために

そして。

奏多先輩と連絡先を交換して以来、しばしばメッセージが届くようになった。

どれも他愛のないものばかりだけれど、時々シビアな言葉が返ってくる。

なかなか油断ならない相手だなと思う。


『そろそろレギュラー決まったか?』

『譲は事務処理能力がイマイチだから、美冬から五十嵐先生にお願いしとけよ。ブロック大会のホテルの手配、早めにしてって』

『妹さん、週末は帰省してるんだろ? ちゃんと勉強できる環境か?』

『俺もテスト週間始まった。美冬も頑張れ』

『ここで勉強頑張って、全国大会へ行けば、それなりの大学ならAO入試で行けるぞ』

『ま、AOより一般で入ってきた学生の方が、就職試験や採用試験でいい成績が出せるらしいから、まだ慌てなくていいけど』

『俺? もちろん一般入試だよ。なぜかって? そりゃあ、学力点が高いから……ってのは半分嘘。遅刻が多くて推薦してもらえなかったんだよ!』

『俺の黒歴史にこれ以上触れないで。こう見えても意外とナイーブなんだからw』

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