特別な君のために
二歳年下の妹は、見た目は健常者と変わらない。
色白でまつ毛が長く、背が高くてスタイルは私より良い。
小さい頃はよく似ていると言われたけれど、今は私より恵まれたルックスになった妹が、正直なところ羨ましい。


妹は、ハイトーンでちょっと舌ったらずな話し方をする。
一本調子で、会話のキャッチボールはできない。
自分の興味関心を一方的に話してしまったり、内容が独特だったりすることで気づく人もいる。


「自閉症」

妹は知的障がいを併せ持つ自閉症で、三歳になった頃、その疑いが強いということが判った。

五歳になり、はっきり自閉症だと診断されてから、家の中はとても暗くなった。

お母さんが毎日泣いていたのを、今も覚えている。
妹の療育に必死だったお母さんと、ゼネコン勤務であちこちの現場を飛び回ってほとんど家にいないお父さん。

私はいつも、自分のことは自分でやるのが当たり前だった。

気がついたら、ひとりでも平気、むしろひとりの方が気楽で良いと思うようになった。
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