特別な君のために
こんなやりとりが、数日に一度繰り返される。

深刻なネタは二人ともあえて避けているような、でも、奏多先輩は常に私を気遣ってくれるようなメッセージをくれていた。


テストが終わってほっとしたのもつかの間、夏休み前の三者面談で進路をほぼ決定するのがうちの高校の習わしらしく。

そうは言っても、私はまだはっきりとした進路を決めていなかった。

オープンキャンパスにも行かず、ひたすら部活に明け暮れていたし、正直なところ、めんどくさいと思っていたから。

大学によっては、交通費や食費、おみやげ付き、なんていう太っ腹なところもあったけれど、そういう大学は大抵学費が高い。

そりゃそうだと、なるみが笑っていたのを思い出す。

「どこかで損をしたら、その分儲けなきゃならないでしょ。学生を集めるのにお金を使う大学は、入学したらいっぱい納入させるんだよ。だから私は、そういう大学には行かないの」

「じゃあ、なるみは、どこが第一志望?」

「うーん、地元を離れてもいいから、国立大学かな、やっぱり。で、公務員になるの」

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