特別な君のために
妹は可愛いし、大切な存在だ。

だけど、妹が家にいると、次に何が起こるのだろう、と身構えていなくてはならない。


今年、自宅から少し離れた特別支援学校の高等部へ進学した妹は、寄宿舎生活が始まったばかり。

週末と長期休業中は自宅にいるけれど、あとは学校のすぐそばにある寄宿舎で、同級生と一緒の部屋で過ごしている。

ゴールデンウィークの今、特別支援学校は寄宿舎生のことを配慮して、飛び石連休にせず、九連休になっている。


久しぶりに、妹がずっと家にいる生活は、嬉しさ半分、わずらわしさ半分というのが正直なところで、また私の中の鉛が増えた気がした。

私の心臓が鉛で八割、埋まってしまったイメージが、頭の中にわいてくる。

これではいけないと思って、私はその鉛で人形を作ってみた。

自分の分身となる可愛い人形にしたかったのに、鉛という素材のせいか、いかつい兵隊さんがひとり、出来上がった。

あまりにもネガティブ過ぎて、ちょっと笑った。

ぼんやりしていてもろくなことを考えないから、スマホを取り出して好きな音楽を再生した。

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