特別な君のために

寝不足はお肌の大敵、なんて言うけれど、私はまだ若いし大丈夫……なんて楽観視していたけれど、実はかなりのダメージもあった。

眼の下のクマ、はまだいい。こっそりお母さんのコンシーラーで隠すこともできるし。

問題は、二重だったのが三重になってしまったことだ。

くっきりとした二重が自分でも気に入っていたのに、ある日自分がとても老けて見えて、その原因が三重になってしまったことに気が付いた。

さすがに、ショックだった。


そのことをなるみに話したら、大爆笑された上、アイプチを勧められた。

「とりあえずたるんだしわを折り込んでくっつけてみたらどう?」

「……なるみ、他人事だと思って楽しんでるでしょ。くーやーしーいーー!」

「ふふふ~ん。私は一重だから関係ないもんね。私も寝不足だからいつか二重にならないかな」

「それこそ、アイプチでしょ」

「うまくできないんだってば! この気持ち、天然二重の……今は三重だけど、美冬にはわかんないでしょ! くーやーしーいーー!」

受験勉強のストレスを発散するかのように、こんなバカな話をして笑っている。

今が一番忙しくて、楽しくて、充実しているのかも知れない。
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