特別な君のために
「ふふふ。自覚せずに進学先を選んじゃうあたりがやっぱり、いいお姉ちゃんなんだろうな~。妹さんは、幸せだね」
「そう、ですか?」
「もちろん。きっと、妹さんはあなたが思ってる以上に、あなたのことが大好きなんだと思うな。だから、あなたがすることは何でもやってみたいし、あなたの持ち物を触ってみたいの。子どもって、みんなそうでしょ?」
「確かにそうです。妹は発達年齢が、ちょうど先生のお子さんと同じくらいで……だから、イライラするようなことをされても、五歳だからしょうがないって思って我慢していました」
目の前の可愛い子の頭をなでながら、考えた。
知能は五歳でも、見た目と筋力は年相応。だから、痛い想いもいっぱいしてきたけれど、それも含めて私の妹だから。
「うん。あなたは自分で気付いていないくらい、自然に家族のこと、周りの友達のことを考えられる子。だからうちの子だって、こんなに懐いてるんじゃないかな」
「そうだったら、いいんですけれど」
そんな風に褒められて、照れくさいけれど嬉しい。ちゃんとお礼を言っておかなくちゃ。
「……ありがとうございます」