Innocent -イノセント-
怒っていいのはあたしのはずなのに、何であたしが怒られるの?
責められるべきなのは、響ちゃんのはずなのに……。
「だって、夜の世界の人でしょ?
響ちゃんがいた同じ世界の人でしょ?
響ちゃんだって、女の人騙したりしてたんでしょ?
だから、最低なホストだって言ったんでしょ?
だったら、その人だって男の人を────」
怖気づく自分を振り払って、勇気を出して言ってみたのに、
「違う。俺は何言われても仕方ない。でも、一華は俺とは違う。だから一華を悪く言うな」
その勇気を簡単に振り払う響ちゃんは、ものの見事なまでに、またあたしを怖気づかせる。
それだけ、響ちゃんの目は怖かった。
声の低さより、その瞳がもう何も言わせない!! って、言ってるようで怖かった。
理不尽だと思いながらも、有無も言わせぬ迫力ある瞳の前に怖気づくあたしは、もう押し黙るしかなかった。