Innocent -イノセント-
ベラベラ喋る響ちゃんより、ヘルプ君に胸の内で同意して、これから続けられるだろう、困った響ちゃんの結末を声高々に笑ってやろうと思う。


子供沁みたちっぽけな仕返しだけど、ここぞとばかりに笑ってやろうと思う。


……そう思ってたのに、



「けど、一華は言ったんだ。俺の隣に座る一華は、目の前のヘルプを真っ直ぐに見て、人の心配より、まず自分の心配をした方が良い、って」



あっさり笑うチャンスを奪われるどころか、



「枕だろうが結果残せるならそれはプロ。人の足を引っ張って醜態晒すより、よっぽど結果に繋がる。

セミプロにすらなれないあなたは、悪いけどこの席にはいらないわ、って崩れねぇ笑顔でヘルプをあしらって、ヘルプは歯軋りしながら席を離れてったよ」



ヘルプ君並みに歯軋りしたくなる悔しさに包まれる。



「正直、誰にでも嫌な顔を見せずに、いつも穏やかな一華がそんなこと言うなんて意外だった。
でもそれだけ、俺を庇うほどまでには、こっちに気持ちが向かってんだって思うと、腹ン中でほくそ笑んでた」



更には、ヘルプ君とは対照的に、してやったり顔だったに違いない過去の響ちゃんを思い描き、

ベラベラ喋る今の響ちゃんを目に映して、地団駄さえ踏みたくなる。



「そこまでして庇ってくれんなら、今夜は確実に俺のもんにしてやろうって企みながらな」



……最低。

ホントに最低だっ!!
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