その笑顔が見たい

席に着くと一番にパソコンを立ち上げる。
メールは出張先でも確認できていたから、宮崎ができることは彼女に指示を出していた。
その報告も彼女から上がっているので目を通す。

彼女の良いところは報告も細かくしてくれるため、不在でも安心して任せられた。
疲れが残っている頭をフル回転させ、いかに効率よく今日を終えるか考える。
今日は早く帰りたい。そして体を休めたいと思っている。

できれば葉月とも…会いたい。
まだ社長と二人で帰る葉月を見てから会っていない。
二人の関係を確かめるのが怖いけれど、会わないで葉月不足になる方が辛い。


机の上にあった書類などに目を通していると隣に人の気配を感じたので顔を上げる。
宮崎が出社してきたようだった。



「おはよう」


「おはよう、ございます」


なんだこの違和感は。
いつも大げさにまつげをパタパタと瞬かせ、じっと見るのに今日はチラッと目を合わせ、すぐにそらした。


「不在中、色々ありがとう。報告も」


「あ、はい。出張、お疲れ様でした」


やはり変だ。
目を合わさないし、引きつった笑顔を向けてくる。おかしい…
だとしても自分には関係ないと、彼女のプライベートは興味ないと、違和感はそのままにしておいた。


< 105 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop