その笑顔が見たい

「翔ちゃん…」

葉月はどこか照れているように俺の名前を呼んだ。


「葉月が目の前に現れて自覚したんだ。俺はずっと葉月が好きだったって」


「…うん」


「だからって永井さんに中途半端なことをして良い訳ない。だから、葉月と再会してすぐにハッキリともう会えないと話をしたんだけど、どうしてこうなったか。葉月は…永井さんと接点はないよな?」


「うん、知らない人。警察にはそれもお話しした」
 

「そっか」

初対面の女性にいきなりナイフを突きつけられたなら尚更、怖かっただろう。


「葉月を危ない目に遭わせてごめんな。俺のだらしない過去が招いた」


「ほんとだよ」

葉月は俺を庇いもしない。


「でも翔ちゃんが守ってくれた」


「当たり前だよ。もう葉月と離れたくない」


「うん…」


「俺とこれからずっと一緒にいてくれる」


葉月には良い返事を貰えると思ったからスラスラと出た言葉。
なのに葉月からの返事は…


「でも…」


えっ?まさかの拒否?

< 132 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop