その笑顔が見たい
退院は二週間後だった。
傷はだいぶいい。ただ皮膚が引きつってしまうため、まだ無理はできない。
しかし仕事には支障がないため、退院してすぐに復帰した。
宮崎が座っていた席は空席になっていた。
「ご迷惑をおかけしました」
朝一で柳さんへ挨拶をする。
「大変だったな」
一言言って、タバコの箱を持って合図した。
こうして喫煙室で話す内容は決まってオフレコな話題。
「宮崎は休職な。期間は決まってない。アシスタントは横田と兼任で」
「はい。あの…宮崎さんはどうなったんですか?」
「ああ、言動に問題があるということで常務が親元に戻したよ」
「そうですか」
警察から聞いた話によると…
紗江に入れ知恵をしていたのは宮崎だったようだ。
俺が紗江と連絡を絶った頃から、紗江から会社に電話がかかって来ていて、外出が多い俺の代わりに宮崎が対応していた。
葉月の存在も紗江の存在も宮崎は調べていたらしい。
紗江の存在はそれほど気にしてなかったようなのだが、葉月は違っていた。
見下していた食堂の契約社員ということから気に入らなかったらしい。。
それにまして、葉月にだけ見せる俺の態度は宮崎の逆鱗に触れていたに違いない。
だから葉月を逆恨みした。