その笑顔が見たい


「あ、どうしてここに?」

聡がまじまじと見ながら問いかける。


「営業でお邪魔したんだ」


「通りで!会社員みたいな格好していると思った」


笑いながら聡は俺を頭からつま先までゆっくりと見ていた。


「会社員って、当たり前だろ。聡は?ここで働いてるの?」


「ああ、一応、リハビリトレーナーやってる」


すると俺たちのやり取りをそばでじっと聞いていた車椅子の彼が口を挟む。


「一応って。俺ら、すっげー先生に助けられてるっつーの。それに原先生は女子からも大人気だし。しかしイケメンはイケメンを呼ぶって本当なんだな」


聡が人気があることなんて昔からだよ。
他人に言われなくたって、知ってる。

イケメンがイケメンを呼ぶってなんだよと思いながらも、彼が何が言いたいかはなんとなくわかるが自分では口にしない。


「翔太もイケメンだろ?こいつ、昔っから隠れファンがいたんだよな」

車椅子の彼に目配せをする。

「おい、どうでもいい話しするなよ」

もっと話すことがあるだろ、俺たちには。積もる話はたくさんある。
しかしお互い今は勤務中。
限られた時間で話せる話じゃない。
それでも聞きたいことがさっきから頭の中を占めていた。


「…葉月は、元気か?」




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