その笑顔が見たい


「葉月、今何してるの?」


「働いているよ、高校は通信教育で卒業したらしい。派遣会社の社長が面倒見がいい人でその人が色々と助けてくれてるって言ってたな」



「働いてるってどこで?」



「教えてくれないんだ。派遣先は短期間もあって場所が変わるから、教えたところでまたすぐに変わるからって。」



「…風俗とか、じゃないよな」



「んなわけあるか!」


即答した聡の言葉にほっと胸をなでおろした。
借金返済で金を手っ取り早く稼げる場所を容易に想像できる職がとっさに頭に浮かんで口にしてしまった。


「派遣会社は名の知れた大手だからそういうジャンルじゃない。それに葉月はあんな貧弱な体で風俗で働けるわけない」


冗談交じりに笑う実の弟に「見たことないだろ」とツッコミを入れる。


「まぁな、何ヶ月か前に会った時も痩せっぽっちだった」


高校生の頃、いつもダイエットと言いながらデザートを人一倍食べていたけれど、決して太ってはいなかった葉月がさらに痩せてしまったのか。


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