その笑顔が見たい
第四章

柳さんの意図を踏まえた宮崎の教育は、なかなか難しかった。
俺にその気がないのも影響しているのかもしれない。

円滑に仕事を進める為にはコミュニケーションが大事だと食堂に行く時は、昼食を一緒に取る時間が多くなった。僕から誘わなくても食堂に行けば宮崎が同じテーブルに寄ってくる。その時は桜木と宮崎の同僚も一緒にいるのが救いだ。

前よりも会話が増えて、こうして僕が今までよりも宮崎に時間を割くことになり、生じた現象は予想通りだった。

桜木経由で聞いた宮崎の同僚の話だと僕の気持ちは宮崎になびいているらしい。
それを伝えてきた桜木が意味深に笑う。


「翔ちんには忘れられない人がいるのにね」




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