その笑顔が見たい
「あの頃から、ずっと好きだった…」
それが恋なのか愛なのかわからなかったあの頃の思い。
置き去りのまま、宙ぶらりんのまま月日が流れた。
忘れていたはずが葉月と再会したら思いは一気に膨らんだ。
知らず知らず、ずっと心のどこかにしまっておいたんだろう。
そうだ、俺はあの頃から葉月が好きだったんだ。
葉月は俺の胸の中で鼻をすすった。
「葉月?」
顔を覗き込もうとすると「見ないで」とさらに俺の胸に埋めた。
まずい…可愛すぎるだろ。
「はーちゃん?」
わざとこう呼ぶと葉月はクスっと笑いながら、顔だけを上げる。
上目遣いに目が合うと、どうしようもなく愛おしくて…
おでこにキスをした。
それだけで葉月は真っ赤になっている。
その顔を見たら加虐心に火がつく。
「俺のファーストキスを奪ったくせに」
忘れたなんて言わせない。
あれがなんの意味があったのか、悩んだ時間をどれだけ費やしたか。
「あ…覚えてたの?」
申し訳なさそうな小さな声。
「忘れるわけないだろ。やり逃げしやがって」
下品な言葉をわざと使う。
「やり逃げって!あれは…」