王様と私のただならぬ関係
 



 昼休み、みんなで、デスクでおやつを食べていると、緋沙子が言い出した。

「そうだ、明日香。
 キングに彼女が出来たらしいのよ。

 誰か知ってる?

 あんた、最近、親しいようだけど」
と訊いてくる。

 ……私が彼女だという発想はないんだな、と思いながら聞いていた。

 まあ、王様と灰をかぶったまま払えないでいる女だからな、と思う。

 キングで彫像なあの人には、やはり、お姫様みたいな人が似合うのだろう、とぼんやり思う。

 やっぱり信じられない。

 あの人が成り行きとはいえ、私と結婚したいとか。

「明日香はあの人と付き合ってるの?」
と真美がドアの向こうを指差し、言ってくる。

 大地がいつものように、そこから覗いていた。

「……いや、全然」
と答える。

 先輩、こりてください……と思っていた。



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