王様と私のただならぬ関係
 



 お昼休みが終わる前、みんなでロッカーで化粧を直したりしているとき、若菜が言ってきた。

「葉月さんの彼女ってどんな人かな?
 なんか想像つかないよねー」

 ……まったくですよ、と明日香が思っていると、緋沙子が、今日帰りに出かけるらしく、持ってきていた少し派手目の服をハンガーにかけたままチェックしながら言う。

「キングの彼女かあ。
 そんなめんどくさいものによくなる奴居るわね」

 ……まったくですよ。

「でも、素敵じゃないですか、葉月さん」

「あんた、一度、あの男としゃべってみなさいよ。
 予想通り、なに考えてんだか、さっぱりわからないんだから」

 まったくですよ。

「まあ、悪い奴じゃないんだけど」

 まったくですよ……。

「きっとお姫様みたいな人なんでしょうね」
と何故か、まだ見ぬ秀人の彼女に憧れを抱いているかのように若菜が言っていた。

 あ……穴があったら入りたい……。
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