王様と私のただならぬ関係
 事態についていけずに、固まった明日香は、思わず、側に居た秀人の腕をつかんでいた。

 あ、ちゃんと体温がある、と思いながら。

「明日香」
と呼びかけ、大地が前に出たとき、秀人が溜息をついた。

「如月」
と秀人が大地を呼ぶ。

「結婚するんだ」

「……誰が?」
と大地が訊き返した。

「俺と――」

 秀人が自分を見下ろす。

 総務の女だ、というのはわかっているようだが、名前を呼ぶような関係にはなく、名字は記憶になかったようだ。

 無言で明日香を指差したあとで、
「……結婚するようだ」
と他人事のように言っていた。






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