王様と私のただならぬ関係
「俺と葉月でなにが違う。

 お前が好きで、ガンガン押してって、いきなり迫って」

 何故、そこまで知っている、と思いながら、壁に押し付けられる感じに追い詰められる。

「なにがって……」
と近い大地の顔から顔をそらすようにして明日香は言った。

「葉月さんは、最初からガンガン来てたわけじゃ。
 私のことを好きなわけでもなかったし」

「最初っから下心がなければ、オッケーなのか?
 じゃあ、俺もお前のことは好きじゃないから、キスしていいか?」

 いや、おかしいし、その話っ、と屈強な大地の両腕に行く手を阻まれ、明日香は慌てる。

 これって、いわゆる壁ドンッ!?

 こんなのなにもときめかないよーっ。

 これが葉月さんだったら、どうだろう。

 あの人、意外に、しれっとやりそうだけど……。

 とか、考えてる場合じゃ今なくてーっ!

 誰か来るっ。

 噂になるっ。

 葉月さんに呆れられるっ、と思ったとき、ポーンッと音がして、エレベーターが何処かのフロアで止まった。
< 153 / 298 >

この作品をシェア

pagetop