王様と私のただならぬ関係
 




「あー、びっくり。
 廣田さん、さすが、野生の勘ですね」

「だろー。
 如月から助けてやったことだし、なんかおごってよ」

 いや……助けてくれたんですかね? とそこは少し疑問に思う。

 大地はまだ上のフロアに行くんだったらしく、こちらを見ながら、そのまま、社長たちと行ってしまった。

 社長と専務とひとつの箱に乗って行くなんて、緊張感に満ちあふれたちょっとした地獄だ。

 まあ、罰ってことで、と思っていると、
「自販機の珈琲でいいよ」
と秋成は言い、さっさと廊下の隅の自動販売機に向かい、歩き出す。

 まあ、一応、助けてくれた……

 くれたような気もしているから、おごるか、と思い、付いていった。



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