王様と私のただならぬ関係



 明日香……と廣田?

 廊下の隅の窓辺に立つ明日香と秋成を見て、秀人は足を止めた。

 秀人の手には備品伝票があった。

 小笠原に、廣田に消しゴム取りに行かせろと言われたのだが、こういうときには、つるつるっと居なくなっている秋成は今日もまた消えていたのだ。

 結局、総務に居るじゃないか。

 っていうか、なんで明日香と居るんだ、と思って見ていた。

 秋成がなにか言うと、自動販売機のカップを手にした明日香が少しふくれて見せる。

 可愛いな、と思い、眺めていた。

 明日香の鼻先についたココアを秋成が軽く拭ってやるのが見えた。

 いい男だ、秋成。

 女性に対してのああいう仕草も様になる。

 何故、お前ほどの男が、あんな訳のわからない明日香を。
< 158 / 298 >

この作品をシェア

pagetop