王様と私のただならぬ関係
 


 その夜、明日香の自宅を訪ねた秀人は訊いてみた。

「明日香」
「なんですか」

「俺が好きか」

「しょ、正面切って訊かないでください」

 明日香はいつものように、わたわたしている。

 ……照れているのだろうか。

 本当は好きじゃないけど、答えにくいとか? と思っている目の前で、明日香は少し赤くなりながら、

「好き……好きなんですかね?」
と自分自身の感情に戸惑うような顔をしながら、何故かこちらに訊いてくる。

 ああ、可愛い。

 やはり、廣田に取られる前に、と思ってしまう。

 だが、また拒否されるのではないだろうか。

 やっぱり、俺のことを好きなわけではないのでは。

 とか思っているうちに、

「お前も壁面緑化のこやしに……」
と思わず、考えていたことを口から出してしまう。

「今、なにがどうなって、そうなりましたーっ?」
と明日香が叫んでいた。






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