王様と私のただならぬ関係




 やはり、この人、ついていけない、と明日香は固まっていた。

 突然、
「お前も壁面緑化のこやしに……」
と言い出したからだ。

「今、なにがどうなって、そうなりましたーっ?」
と叫ぶと、

「いや、すまん。
 お前が、あんまり可愛いから。

 他の男に取られるくらいなら、殺して壁に埋めてしまおうまで行っていた」
と言ったあとで、

「そうか。
 明日香も秀人を誰にも取られたくないから、殺《や》ってしまったんだな……」
とひとり納得している。

 いつも、いきなりの発言が多いので、そこへたどり着く過程をしゃべってくれと思っていたのだが、実際にしゃべられたら、怖かった。

「それにしても、廣田さんめ、きっと三田さんを口説こうとして、葉月さんに彼女が出来たってバラしたに違いないですよ」
と言うと、秀人は、

「廣田の話はもういい」
と言ってきた。

 明日香、とすくいあげるように頬の横の髪に触れてくる。

 思わず、びくりと逃げてしまった。

 すると、秀人は逃すまいとするように、髪をつかんだまま言ってくる。
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