王様と私のただならぬ関係
 



 王様王様、聞いてください。

 私はそのようなことが苦手らしいんです。

 このまま妃でいても大丈夫でしょうか?

 夢の中、植物まみれの古いお城で、明日香は玉座の前にひざまずいていた。

「いいわけないだろう、馬鹿者が」
と王冠を被り、白衣を着て、玉座に座る秀人が言ってきた。

 だって、そんなことしたことなかったから、できないとか苦手だとか知らなかったんです、王様。

 王様。

 待ってください、王様ーっ。

 かむばーくっ。

 秀人を追いかけようとしたが、何故かそこに居た鶴に足をつかまれ、冷たい石造りの床に叩きつけられる。

 そんな間抜けな自分の目の前で、秀人は静に似た美しいお姫様と行ってしまった。

 何故、鶴? と起きてから明日香は思う。

 ……もしや、蔓《つる》につまづきたかったのだろうか、私は。

 夢の中でまで間違うな、と思いながら、二度寝して遅刻しかけた。




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