王様と私のただならぬ関係
 




 静には冗談めかして答えたが、明日香が元気がないというのが気になり、秋成は、明日香を追いかけて総務のフロアへと向かった。

 だが、明日香は他の部署に寄ったらしく、自分の方が先に到着していた。

「なによ、明日香に用事なの?」
と総務で緋沙子に訊かれ、

「いや、ちょっと元気がなかったから」
と言うと、緋沙子は、

「まあ、おやさしいこと」
と信じてはいないかのような口調で言い、肩をすくめてくる。

 ……我ながら、日頃往生とはこのことだな、と思っていた。

 総務から出たものの、なんとなく立ち去りがたく、廊下に居た。

 でも、もう戻らないと怒られるなーと腕時計をチラチラ見ていると、階段の方から明日香がやってきた。

「へい、明日香ちゃん」
と声をかけると、

「あ、廣田さん、おはようございます」
と自動的に、と言った感じで頭を下げてくる。
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