王様と私のただならぬ関係
 昨日の今日なのに、喧嘩も売ってこないし、心此処にあらずって感じだな、と思いながら、
「どうしたの?
 元気ないって、静姫が心配してたよ」
と訊いてみた。

 すると、かなり自虐的な感じに、
「いえ、私は静さんに心配していただけるような人間ではありません。
 今朝、夢のせいで、殴ろうとしたくらいで」
と告白してきた。

 おいおい……と苦笑いしながら、
「なにがあったか知らないけど、相談に乗るよ、いつでも」
と言うと、明日香は、ちら、と上目遣いにこちらを見てくる。

 おっ。
 そういう顔はなかなか可愛いんだよなー、と思う。

 普段は喧嘩腰だけど。

「廣田さん」

「はい、なんでしょう」
と言ったのだが、明日香は、そこで思い直したようで、

「面白がりそうだから、やっぱりいいです」
と言ってきた。

「なんだかわからないけど。
 たぶん、葉月のことでしょ。

 そりゃ、面白がるよー」
と言うと、やっぱりかっ、という顔をしてはいたが。
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