王様と私のただならぬ関係
「明日香ーっ。
 いつまでサボってんのー」
と遠くで緋沙子の声がした。

 あ、はーい、と返事をした明日香は、
「あの、お話聞いていただいて、ありがとうございました」
と丁寧に頭を下げ、とぼとぼと総務に帰っていく。

 うう。
 なんか罪悪感が。

 でも、嘘は言ってない。

 その可能性もないでもないでもないからだ。

 だが、しょんぼりした明日香の後ろ姿を見ていると、想像以上に胸が痛んだ。

 やっぱり追いかけようかなーと思ったとき、エレベーターが開いて、ちょうど大地が現れた。

「あ、一度、撲殺された奴が来た」
と思わず言って、

「死んでない」
と横目に見た大地に言い返される。





< 177 / 298 >

この作品をシェア

pagetop