王様と私のただならぬ関係
 



 大地が総務から出てくるのを待って、秋成は一緒にエレベーターに乗った。

「おい、お前のせいで、明日香ちゃん、葉月と上手く行ってないらしいぞ」
と言うと、

「俺にまだ気があるからか」
と大地は言ってくる。

「お前なー」
と言ったあとで、なんとなく二人で外の花壇の前のベンチに腰掛けた。

「いや、明日香はてっきり俺に気があると思ってたんだ」
と大地は語り出した。

「なにを根拠に……」
と言うと、

「だって、あんなにニコニコと俺の話を聞いてくれてたんだぞ。
 気があると思うだろ!」
と主張してくる。

「お前、今までどんだけ人に話聞いてもらってなかったんだよ……」

 まあ、悪い奴ではないが、一人で演説のように話し続けるから、ハイハイといつも流されているな、そういえば、と気がついた。
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