王様と私のただならぬ関係
「私のようなものは、どうぞ、成敗してください~」
と成仏する直前の霊のような小さな声で言って、

「待て、話を巻き戻せ」
と言われる。

 振り返ると、
「ナンパされたのか、お前」
と秀人は言ってきた。

「はあ。
 書店を出たところで」

「されるな、ナンパ」
と無茶を言われてしまう。

 だが、確かにこっちが悪かった。

 考え事をしていたので、目の前に居た人を、つい、見つめてしまったのだ。

 別にその人を見ていたわけではないのだが。

「ケモノと一緒で、あの手のやからは目を合わせたら駄目なんだって、みーちゃんが言ってました」

「誰だ、みーちゃん」

 大学の友だちです~、と言っている間に、海に着いていた。



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